司法書士 過去問
令和6年度
問9 (午前の部 問9)
問題文
※商法の適用は考慮しないものとして、解答してください。
ア 共有者は、共有物について、5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることができる。
イ 共有者は、他の共有者が所在不明であることにより、共有物の分割についての協議をすることができない場合には、裁判所に共有物の分割を請求することができる。
ウ 裁判所は、共有物の現物を分割する方法により共有物を分割することができない場合に限り、共有者に債務を負担させて、他の共有者の持分の全部又は一部を取得させる方法により共有物の分割を命ずることができる。
エ 甲土地を所有していたAが死亡し、B及びCがAを相続した場合において、甲土地の分割についてBC間で協議が調わないときは、B又はCは、遺産分割の審判を申し立てずに、共有物分割の訴えを提起することができる。
オ A及びBが共有する甲土地について抵当権を有するCは、甲土地の分割に参加することができる。
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問題
司法書士試験 令和6年度 問9(午前の部 問9) (訂正依頼・報告はこちら)
※商法の適用は考慮しないものとして、解答してください。
ア 共有者は、共有物について、5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることができる。
イ 共有者は、他の共有者が所在不明であることにより、共有物の分割についての協議をすることができない場合には、裁判所に共有物の分割を請求することができる。
ウ 裁判所は、共有物の現物を分割する方法により共有物を分割することができない場合に限り、共有者に債務を負担させて、他の共有者の持分の全部又は一部を取得させる方法により共有物の分割を命ずることができる。
エ 甲土地を所有していたAが死亡し、B及びCがAを相続した場合において、甲土地の分割についてBC間で協議が調わないときは、B又はCは、遺産分割の審判を申し立てずに、共有物分割の訴えを提起することができる。
オ A及びBが共有する甲土地について抵当権を有するCは、甲土地の分割に参加することができる。
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この過去問の解説 (3件)
01
共有物の分割に関する問題です。
判例・先例からの出題も多いですが、基本的な問題が多いので確実に得点できるようにしましょう。
各共有者は、原則としていつでも共有物の分割を請求することができますが、5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることができます(民法256条1項)。
よって、本肢は正しいです。
暗記のポイント:共有物分割禁止特約は、最大5年(更新可)
共有物の分割について共有者間で協議ができないときは、その分割を裁判所に請求することができます(民法258条1項)。
よって、本肢は正しいです。
民法第258条第2項に、裁判所が命ずることのできる共有物の分割の方法が、以下のとおり規定されています。
第1号:共有物の現物を分割する方法
第2号:共有者に債務を負担させて、他の共有者の持分の全部又は一部を取得させる方法
これらの方法は裁判所が各事件の実情から選択できるものであり、どちらかが優先されるわけではありませんし、そのような規定もありません。
よって、本肢は誤りです。
判例では、遺産相続によって相続人の共有となった財産の分割については、共有物分割の訴えではなく、家庭裁判所の審判手続等によって処理すべきとされています(最判昭62.9.4)。
よって、本肢は誤りです。
共有物について権利を有する者及び各共有者の債権者は、自己の費用で、分割に参加することができます(民法260条1項)。
よって、本肢は正しいです。
なお、共有物の分割をしようとする場合であっても、共有者から債権者等へ通知する必要はありません。
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02
共有物の分割に関する問題となります。
ア 民法256条第1項において「共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。」と規定されていることから、正しい答えとなります。
イ 民法258条第1項において「共有物の分割について共有者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、その分割を裁判所に請求することができる。」と規定されていることから、正しい答えとなります。
ウ 共有物分割の方法として現物分割、価格賠償の方法がありますが、どちらかが優先する訳ではないため、誤りとなります。
エ 相続財産については家庭裁判所の審判手続によるべきことから、誤りとなります。
オ 民法260条第1項において「共有物について権利を有する者及び各共有者の債権者は、自己の費用で、分割に参加することができる。」と規定されていることから、正しい答えとなります。
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03
共有物分割については実務においても重要な制度です。条文の内容を理解し、基本的な知識をしっかりと身につけるようにしてください。
ア そのとおりです。
共有物の分割については、原則、いつでも共有物の分割を請求できますが、例外として、5年を超えない期間は分割をしない旨の契約(不分割の合意)をすることができます。
よって、本肢は正しいです。
尚、この契約は更新が可能(民法256条2項)ですが、その期間は、更新の時から5年を超えることができません(民法256条2項但書)。
イ 共有物の分割について共有者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、その分割を裁判所に請求することができます(民法258条)。
よって、本肢は正しいです。
ウ 裁判による分割において、共有者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときに、①現物分割、又は②共有者に債務を負担させて、他の共有者の持分の全部又は一部を取得させる方法による分割(価格賠償)を命ずることができる(民法258条1項2項)としています。本肢のように、「現物分割ができない場合」というわけではありません。
よって、本肢は誤りです。
エ 共有物が相続財産であるときは、その協議が調わないとき、又は協議することができないときは、家庭裁判所の審判によってこれを定めるべきとしています(最判昭和62年9月4日)。
よって、本肢は誤りです。
オ 共有物分割においては、下記のとおり、利害関係人の参加が認められています。
共有物について権利を有する者及び各共有者の債権者は、自己の費用で、分割に参加することができる(民法260条1項)。なお、利害関係人から参加請求があったにもかかわらず、参加させないで分割した場合には、その分割は、利害関係人には対抗できません(同条2項)。
よって、本肢は正しいです。
共有物分割については、基本的知識は条文を確認し、必ず正解できるようにしておきましょう。
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